ヤン・ファーブル Jan Fabre

  • Another Sleepy Dusty Delta Day〜またもけだるい灰色のデルタデー

    生と死の交錯が容赦なしの表現で提示された作品。舞台上の若い女性のむき出しの生と、手紙の中で自分をランスロットになぞらえて恋人に語りかける、文学的で観念的な世界に生きて死んでいく既に不在の青年のひりひりする生。主演のアルテミス・スタヴリディが圧巻だった。
    (by nnnnnao)

    舞台上には石炭の小山。小山の周りには模型電車が走り回り、天井からは吊られた鳥かごの中で、カナリヤが息を殺していた。振付家であるヤン・ファーブルだが美術家としての顔も持つ彼らしく、舞台美術だけでも想像力を喚起する。恋人の遺書を読みながら踊り、独り語る女・・・喪失することの混乱と悲しみ。
    (by 亀田恵子)

    舞台上には、五基の鉄道模型、上から十個の鳥かごが吊り下がり、カナリア色の服を着た若い女性が、自殺した恋人からの手紙を読みあげます。もう届かない存在の彼を思い、彼女は舞台上をのたうち回ります。
    いきいきと生きて、愛を伝えることこそ、最高の愛の表現…と思います。この作品にある愛の形は、死によって想いを永遠に結晶化させるような、悲しく美しいものだと思いました。(更紗)
    (by 更紗)

ヤン・ファーブル
Jan Fabre
1958年ベルギー・アントワープ生まれ。演劇やオペラの演出家、振付家、作家、ビジュアル・アーティストとして作品を発表。同時代の最も革新的かつ多才なアーティストとして知られる。84年にヴェネチア・ビエンナーレ、2005年にアヴィニョン演劇祭アソシエイト・アーティストを務めるほか、2007年にはザルツブルク音楽祭の招聘により『変容のためのレクイエム』を上演、08年にはパリのルーヴル美術館で個展を行うなど、ジャンルを超えて活躍するアーティスト。

あいちトリエンナーレ2010公式紹介より抜粋