櫻井裕子 Hiroko Sakurai

  • metamorphosis

    大きくフォーカスされた、作者と、別の人物の「手」の写真。これらを細かく裁断し「編み合わせる」という行為を経て、全く新しいイメージとしての「誰でもない」存在が提示される。重なり合う写真は、決して同一にはなれない人間そのものの関係性や「個」の本質を炙り出しているかのようで興味深い。
    (by ふう)

    道路からではなく、建物を少し中へと入らなければその作品を観ることはできない。櫻井裕子の作品は、写真がシュレッダーにかけられた様に細く切り刻まれ、そして再び結合されている。もう元の状態には戻れずに可逆性を持たないその写真は、それでも鑑賞者に対してメッセージを強く投げかけようとする。
    (by 田中瑞穂)

櫻井裕子
Hiroko Sakurai
企画タイトル:"metamorphosis"
「私の作品は、私自身と友人が被写体になっている写真を裁断し、無理矢理編み合わせることで形づくられています。私と被写体になった人物との距離感を、写真を使って遠ざけ、編むという手段を使って異常な程までに近づけてもいます。「異常な程までに近づきながら、遠くはなれている」これが気になる事です。
人間の形をしているという事がけして「人間らしさ」の証明ではなく、人であって人で無いようなものがあふれた時代に、一体どのように「人間らしさ」をみい
だしたらよいのか。それを探す事がけしてゴールが無い事だと理解していても、探り続けてしまう人は多いのではないかと思います。今回は、作品を鑑賞者である多くの一般のかたの手により、変更したり更新してもらい、私とお客さんとの間で一つの概念を歪ませゴールがみえないまま練り上げ続けていく様子を作品として提示したいです。」

あいちトリエンナーレ2010公式紹介より抜粋